先日、ひとりの女性が当スクールを訪れました。
彼女は「ずっと海が怖かったんです」と話してくれました。
子どもの頃に溺れかけた経験があり、それ以来“水に顔をつけるだけで呼吸が止まる”というほどの恐怖を感じていたそうです。
それでも「海の中を、自分の目で見てみたい」という思いがずっと心の中に残っていたといいます。
小さな勇気が扉を開いた
彼女がダイビングに挑戦しようと思ったきっかけは、友人から見せてもらった沖縄の海の写真でした。
透明な海と光に照らされたサンゴ礁を見て、「怖いけど、自分も見てみたい」と感じたそうです。
その一歩を踏み出す場所として、彼女は当スクール「ヘッドスラップ」を選んでくれました。
「怖がりな私でも大丈夫ですか?」という問い合わせメールが、最初の出会いです。
恐怖と向き合うための最初のステップ
初日はプールでの練習から始まりました。
顔を水につけるだけでも体がこわばり、呼吸が速くなる——そんな状態でしたが、焦る必要はありません。
私はいつも「できるところから、ゆっくり慣れていきましょう」と伝えています。
水に触れ、浮かぶ感覚を覚え、呼吸を整える。
少しずつ、恐怖が「できるかもしれない」に変わっていくのを見守るのが、インストラクターとしての喜びです。
彼女も最初はほんの数秒しか潜れませんでしたが、練習を繰り返していくことで、着実に自信を積み上げていきました。
その表情がどんどん明るくなっていくのが印象的でした。
初めての海へ
そして迎えた海洋実習。
最初は足がすくむような緊張感でしたが、私が手を差し伸べると、彼女は小さくうなずいて水中へとゆっくり体を沈めていきました。
太陽の光が差し込む海の中で、海の中で出会うカラフルな魚たち。
その景色を見た瞬間、彼女の顔がぱっと明るくなり、目には涙が浮かんでいました。
水の中で泣く人は、実は少なくありません。
怖さを超えたその先にある感動は、言葉にできないほど深いものなんです。
「怖さを消す」ではなく「怖さと付き合う」
コースを終えたあと、彼女が言ってくれた言葉があります。
「怖さが消えたわけじゃないけど、怖くてもできる自分になれました。」
まさにその通りだと思います。
ダイビングは、恐怖を“なくす”ものではなく、“恐怖と上手に付き合う術”を教えてくれるもの。
海の中では、深く呼吸し、落ち着いて周りを見渡すことが大切です。
その感覚は、日常でも役立つ「心の整え方」そのものなんです。
恐怖の先に見つけた新しい自分
講習を終えた彼女は「また潜りたい」と笑顔で話してくれました。
以前は“水に顔をつけることさえ怖かった”人が、今では“海が恋しい”と言ってくれる。
この変化こそ、ダイビングの魅力だと思います。
私たちが大切にしているのは、「上手に潜ること」も必要ですが、「安心して海を感じること」。
そのために、どんな不安にも寄り添いながら、ひとりひとりのペースを大切にしています。
最後に
水が怖い方、泳げない方、海を遠い存在だと感じている方。
その気持ちを否定せず、受け入れながら向き合うことで、きっと新しい自分に出会えます。
「怖いけどやってみたい」
その小さな気持ちが、あなたの人生を変える一歩になるかもしれません。
💬 ヘッドスラップ ダイビングスクールでは、初心者・水が怖い方でも安心して参加できるよう、完全少人数制で丁寧にサポートしています。
海が怖いあなたにも、「海が好き」と感じてもらえる時間をお届けします。
